私自身、『らくらく宅建塾』と『過去問宅建塾(壱、弐、参)』を利用して10年以上前に合格したため、非常に思い入れの強いシリーズです。
当時から変わらず人気のある基本書ですが、他社からも優れた基本書が次々発売されメディアの種類も豊富になったため、優位性は相対的に薄れてきているように感じます。そこで本書の評価をあらためて確認していきましょう。
長所は?
権利関係(民法)の範囲が分厚くわかりやすい
本書がベストセラーになった理由の一つに、権利関係(民法)を手厚くわかりやすく紹介しているということが挙げられます。権利関係は、法律初学者が非常につまずきやすい範囲であり、ここで嫌になって挫折する人も数多くいます。長年売れ続けているのは、初学者でもわかりやすく丁寧に取り扱っているところが評価されているのでしょう。
語呂合わせが多い
本書のウリの一つが、語呂合わせを多用しているということです。他社でも必要に応じて語呂合わせを紹介している書籍も多いですが、宅建受験界では元祖と言っていいのではないでしょうか。とりわけ無味乾燥な暗記になりがちな法令上の制限で勉強を助けてくれることでしょう。
短所は?
同シリーズの『過去問宅建塾』の問題数が多すぎる
『らくらく宅建塾』とリンクした過去問集『過去問宅建塾』が3分冊(壱、弐、参)で発売されています。それぞれが他社の過去問一冊分くらいのボリュームがあるので、3冊合わせると実に約2500もの肢(1問は4肢)があることになります。これはさすがに多すぎです。『過去問宅建塾』は、「らくらく」の冠言葉が外されているとおり、決して楽に終わるようなものではありません。
『過去問宅建塾』を解いていくうちに、『らくらく宅建塾』に書いていなかったり補完するような記述がいくつも出てきます。それらを『らくらく宅建塾』のほうに書き込んで行くことで理解が進み、実戦的なテキストに仕上がるという特徴があります。
つまり、『らくらく宅建塾』を使うのなら、リンクした『過去問宅建塾』を利用すべきですが、『過去問宅建塾』のボリュームが多すぎるというジレンマがあります。
使い方は?
私の勉強法は、2週間の間、毎日10時間勉強して計140時間で合格しました(43問)。最後のほうは過去問の数の多さに半泣きになりながらも、2回転させてなんとか合格できました。直前期に集中的に勉強したので、記憶をそのまま持ち込むことができたというのも大きかったと思います。
ただ、このシリーズを使うのであれば、私のような短期決戦の勉強法はあまりおすすめしません。過去問の数からして、もっと腰を落ち着けて重厚な勉強をする人向けであると思われるからです。
具体的な使い方は?
『らくらく宅建塾』を2回ほどざっと通し読みしたら、『過去問宅建塾』にとりかかります。
過去問の解説に線を引いたり、あれこれ書いてはいけません。情報が分散されてしまい、どこに書いてあるのかわからなくなってしまうからです。
『らくらく宅建塾』にたちかえってそこで簡潔に記載し、情報の集約化を図りましょう。『過去問宅建塾』の解説欄には『らくらく』の該当箇所のページ番号が記載されているので、すぐに開くことができることでしょう。
なお、下記のページで追録(正誤表)がダウンロードできます。購入したら必ず確認するようにしましょう
よく、『らくらく宅建塾』で合格できるの?という質問がありますが、私自身がそうであるように何の問題もなく合格できます。ただし、単に語呂合わせを覚えたから合格できるというものではなく、『らくらく宅建塾』と『過去問宅建塾』を行ったり来たりしながら自分なりの『らくらく宅建塾』が完成したときに始めて合格が見えてくるのです。
2016年版らくらく宅建塾 (らくらく宅建塾シリーズ)